細部にこだわる「ガルパン」ならではのウォッチとは。

  ガールズ&パンツァ−。
 大洗という実在の茨城県の一地方を舞台に、第二次世界大戦中に使用された戦車をマニアックに駆使する「戦車道(せんしゃどう)」を極めんとする高校部活動という異色の設定で話題を呼んでいる漫画である。ファンのあいだでは舞台となった大洗が聖地として憧憬を集め巡礼する人もあとをたたない。

 このガールズ・アンド・パンツァー(以下、ガルパン)のオフィシャルウォッチの製作を担うメーカーとして、防衛省本部契約商品として自衛隊モデルを納めているケンテックスに白羽の矢があたったのは、実在の戦車を徹底的にリアルに追求したガルパンらしいこだわりだったのかもしれない。ケンテックス・ジャパンの丹羽忍ブランドマネージャーは言う。

「見かけ倒しのデザインウォッチだと、ガルパンファンに失礼だと考えたんでしょうか。ファン層はこだわりを重視する人たちなので、本物の機能美をもったミリタリーウォッチという点は、はずしたくなかったんでしょう。企画のお話をいただいたことは光栄なことだと思っています」

 

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打ち合わせ時の大量の資料を前に、製作時にこだわったポイントなどを語る丹羽ブランドマネージャー。

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ケースバックに施される大洗女子学園の校章を検討した資料。

 

 

まるで謎かけ。随所に織り込まれた戦車道魂。

 今回のウォッチのベースとなったのは、ケンテックスの本格ミリタリーウォッチである「JSDF PRO 陸上自衛隊モデル」。

 戦車でいえば実戦仕様にあたるスペックをもったベースウォッチに、作品内で主役になっている茨城県立大洗女子学園・戦車道部「あんこうチーム」の魂を吹き込んでいく。同チームが初期に使用する「ドイツ軍Ⅳ号戦車D型本線仕様」のシンボリックな外観的要素をウォッチに落とし込むために、何度もミーティングがかさねられた。

 まず一見して目に入るのはクロノグラフを構成する三つのサブダイヤル。マニアならすぐに笑みがこぼれてくるだろう。下の写真を見てほしい。答えは左写真の下に。

 次に時針と分針。これはなんでしょう? 答えは下の写真(右)に。

 Ⅳ号戦車だけに、ダイヤルの四時位置のインデックスだけ立体的な「Ⅳ」になっている。これはまだ分かるとして、インナーベゼルの目盛りの微妙なオレンジっぽい色・・校章以外はほとんどグレー単色のあんこうチームⅣ号の唯一の差し色とでもいえる色を再現しているというが、正直、そこまで自力で気づくのは困難だろう。

 気づくのが困難といえば、肉眼ではもはや無理というレベルのものも・・。バリスティックナイロンバンドにつけられているプレートに刻印されたⅣ号戦車D型本戦仕様のシルエット。よく見てみてくださいと丹羽ブランドマネージャーに言われたものの、よく分からない。それもそのはず。・・答えはいちばん下の写真に。 

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クロノグラフを構成する三つのサブダイヤルは、ドイツ四号式戦車に使用されている4種類の車輪のうち転輪をのぞく3種のスポーク形状をあしらった。さらに一番下のサブダイヤル内にある連続した三角マークとゴールドのリングは砲手がのぞく照準を再現。気づきましたか?

ウォッチに使用されている時針と分針。これだけ取り出せばもうお分かりだろう。写真の後ろに写っている砲弾が答え。ズバリ、Ⅳ号戦車D型の75mm砲の砲弾を形状からカラーリングまで再現している。

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インナーベゼルリングの目盛りは微妙な感じのオレンジ。この色の意味は時計の後ろの資料に・・。

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バリスティックナイロンバンドにあしらわれたプレート。刻み込まれたⅣ号戦車をよく見ると・・。

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肉眼ではもう無理。キャタピラのコマのひとつひとつまで形状が正確に再現されている。