2015.5.14

A BLOG TO WATCH 日本語訳 
 ※”A BLOG TO WATCH”はアメリカで著名な時計評価サイトです。本記事は許可を得て日本語訳し、掲載しています。

読者のみなさんで、Kentexという日本の時計メーカーを聞いたことがある人はあまりいないと思う。しかし、今後、注目するべきメーカーであることをお伝えしたい。私は2012年の香港ウォッチフェアで初めてその存在を知り、強く印象に残ったメーカーだ。セイコー、シチズン、カシオ、オリエントのような日本の大企業でもなく、自社ムーブをつくっているほどの会社でもないが、ずば抜けた技術で作られた優れた時計を、適正な価格で提供している。その姿は日本の時計づくりの本質を体現しているように思える。

Kentexのデザインは日本のデザインというよりはむしろヨーロッパのデザインに近い。例えばこの美しいMarineman Seahorseについて見てみよう。

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私はこの白ベゼル、白MOPダイアルの限定モデルがとても気に入った。他の多くの日本メーカーのダイバーモデルと比べて、ヨーロッパのベストモデルに代表される“less is more”を良く理解し体現したデザインと言えるだろう。適度なサイズ感や良好な視認性はダイバーウォッチとして多くの人に歓迎されるはずだ。Kentexシーホースは定番のブラックベゼルのほかにグリーンやブルーなどニッチな色にもチャレンジしている。MOPもその一つだろう。

また、ダイアルの色やバリエーションと共に印象的だったのは、手ごろな価格設定、細部の仕上げ、適正なサイズの針、ダイアルインデックスの仕上げの良さなど、こだわりを感じさせるレベルの高いディテールである。Kentex Seahorseは日本が誇る時計と言える。そこにはセイコーやシチズンとは違った、ユニークかつマニアックなこだわりが込められている。

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Marineman Seahorseは日本製自動巻きNH35を搭載している。実用性が高いこのムーブメントは多くのセイコー輸出用モデルに使われている。NH35の特徴は手巻きつきでハック機能がついている。もっと安いモデルにもこのNH35は使われているがKentex Marineman Seahorseに限って言えば、決して高過ぎる価格とは思えない。

Marinemanシーホースはヨーロッパの伝統的なダイバーウォッチの影響を受けている。ブランドウォッチの要素も多く見られるが、しかしこの時計からはブランドウォッチのコピーを企む意図は感じない。
私はKentexブランドがもっと世に知られて欲しいと思う。

Marineman Seahorseというネーミングに合わせた裏ブタのシーホースのレリーフ(彫刻)もとても素晴らしい。

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全体の仕様を説明すると、200m防水、サファイアクリスタル、回転ベゼル、蓄光針と蓄光インデックス、エクステンションつきダイバーベルト、無反射コーティングつきクリスタルは視認性がよい。
また拡大レンズは人により好き嫌いがあり評価は分かれるが個人的にはとてもいいと思う。

時計マニアの目で、ついダイアルを詳しく見てみると細かな欠点も見られる。(Kentexはそれでもいいほうだが)まず針のルミナスの色がダイアルインデックスと微妙な違いがある。
Kentexによればすべてスーパールミナスとのことだが本来それらは同じ色であるべきである。次に”Diver 200M”の文字がやや下に位置しており上と下の文字との隙間が違っている。
そしてDiver 200Mの下の文字(SAPPHIRE,CERAMIC)は要らないだろう。
下に目を向けるとMade In Japanの文字が二分されているがJapanと6時インデックスとの隙間が気になる。両側の文字の寸度を揃えるのは分かるがJapanの文字(フォント)を調整するなどの方法もあったのではないか。

このダイアルが悪いと言っているのではない。自分があまりにもこの時計に引き付けられているためについ時間をかけて詳細に見入ってしまうのだ。他の良い点としてはダイアルリングの分、秒目盛りは好感が持てる。

ベゼルはセラミックである。それは多くの時計コレクターに歓迎されるものでキズ防止に効果的である。ベゼルの分目盛りは塗装であるが、その下は耐久性を考慮された彫り(エッチングダウン)加工がなされている。回転ベゼルの12時位置には丸点のルミナスが設置されている。

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このクールでスポーティなダイバー時計を長い時間眺めていると、精悍な男っぽさを感じる。それこそ私が求めていたものである。
自然な光沢と控えめな色彩がとても魅力的で、しかしながら実用性のある装飾なのだ。Seahorseは約45ミリで小さくはない。ラグに付けられた装飾の小ネジがこのモデルをやや大きく見せようとする意図を感じるが、やり過ぎではない。

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このSeahorseはダイバーウォッチの地位向上につながるとさえ思える。非常に優れた秀作なのか、はたまた好ましくないものなのか、それは身につける人にもよるだろう。

Kentexの仕上げはとてもよい。サティンと鏡面のコントラストも良い。バンド中列の斜面の仕上げがすごく良い。エンドピースは無垢でこの価格帯にしてはめずらしい。(もっとも前例が無いわけではないが)
バンドのこの斜面がケースとのつながりで効果的なデザインバランスとなっている。私はテーパーつきのブレスバンドが大好きだ。それは大きなSS時計をスタイリッシュに感じさせるからだ。

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ベルトはハーフリンク付きで、バックルには微調整可能なばね棒穴があり、より高いフィット感が味わえる。多くの日本製時計にはエクステンションなどの部分にマーキングがなく高級感に欠けるが、機能的で三重のロックは安定感がある。
私が’Asian rattle”と呼ぶ(振るとガチャガチャと音がする)が少しあるようだ。不安定な動きのあるRolexサブマリーナのベルトでもパーツの精度は良く出来ており、それと比べると劣るようだ。
しかし価格を比べると、Kentexの時計を11個も買える価格になる。

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魅力的で実用的、かつ適正な価格なこのKentex Marineman Seahorseを越えるモデルはなかなか見つからないだろう。オーソドックスなデザインではあるが、抑制がきいて印象的なスポーツウォッチである。

特にUSD2000以下を対象とし、USD1000以上の予算の時計ファンは、Kentexを候補に入れるべきである。手に入れると、たくさんの価値と楽しみを、このブランドから感じとるだろう。

S706M-09は限定モデルで99個しか手に入れることはできないのは残念なことだ。価格はUSD780である。