岩屋の疑似「胎内くぐり」で、まっさらな自分に生まれ変わる。

 奈良時代、霊峰白山で悟りを開いたお坊さんが、この地に岩窟を見いだし観音さまを据えた。
 これが開基となり岩屋寺として時代とともに信仰を集めるが、平安時代に参詣した花山法皇は、まさに西国三十三ヶ所霊場にも匹敵すると感嘆し、一番札所・那智山と三十三番・谷汲山の頭一字ずつを取って「那・谷・寺」(なたでら)と命名したとか。
 境内には擬似的な三十三箇所めぐりの巡礼コースも設定されており、所要時間はおよそ60分。岩窟を母胎とみなし、死と再生の輪廻転生を疑似体験する胎内くぐりによって魂を浄化し、まっさらな自分に生まれ変わる。
 那谷寺は国の名勝に指定されており、俳聖・松尾芭蕉も参拝し「おくのほそ道」の中でも触れている。

奇石さまざまに古松植ならべて、萱ぶきの小堂岩の上に造りかけて、殊勝の土地也。

石山の石より白し秋の風

(文・写真・絵:市原千尋)

岩の上にそびえる社殿は、京都の清水寺に似た舞台をもつ。

奇岩がそそり立つ遊仙境。水と岩と木々が織り成す自然の庭園。


奇岩には随所に素掘りの石段が設けられている。雨に濡れた石段はすべりやすくバリアフリーとはいかない。

山奥ではなく、平野のすぐかたわらにこのような景観がひろがる。


奇岩のところどころには穴が穿たれ、石仏が安置されている。岩肌を縫う素掘りの階段はかなりのスリル。


 

今回の旅のお伴はスカイマン・パイロット。気軽で頼もしい旅の相棒だ。