俳聖・松尾芭蕉が「おくのほそ道」の旅も終盤、越前から山の中に入り、わざわざ立ち寄った名刹・永平寺。

 それなのに「おくのほそ道」の中での永平寺に関する記述は60字程度と、驚くほど素っ気ない。

 芭蕉の素っ気なさとは裏腹に、永平寺門前の客引きは熱い。朝も早くから通りかかるクルマを自店の駐車場に招き入れようと待ち構える。店のおじさん、おばさんが威勢よく飛び出してきて、おいでおいでと手招き。「ここに入れ」とばかりに、怒られているのかと思うほど強引な手招きのおじさんもいる。永平寺の門前まで、ずらずらっと待ち構える手招き。ここは心を強くしていちばん奥まで進むと市営駐車場があった。

 永平寺は江戸時代からの大観光地。参拝する旅人めあての宿による客争奪戦はさぞかし熱かっただろう。そんな名残りなのかもしれない。

(文・写真:市原千尋)

休日ともなると人々でにぎわう門前通り。平日の早朝だったため人通りは少ないが、あちこちの店から出てくる呼び込みの手招きは熱かった。

門前のにぎわいとは一転した境内。苔むした石段とまっすぐ上にのびた大木が森閑とした空気をつくる。

蓮(はちす)の舟に乗って片膝を立てたお釈迦様。斜め後ろからじっと見つめる大ガマ。そんな構図を思わせる不思議な池。

永平寺は山間に巨大な伽藍を成している。

今回の旅のお伴は、またまたスカイマン・パイロット。はっきりとした目鼻立ちなのに飽きがこない。本格機械式時計のエントリーモデルとしても人気。一方、そのスタンダードな美しさはベテランにとっても長く愛せるアイテム。